Ariane Mnouchkine

第35回(2019)受賞

思想・芸術部門

映画・演劇

アリアーヌ・ムヌーシュキン

/  演出家

1939 -

太陽劇団 創立者・主宰

記念講演会

この賞は誰に贈られたのか?

2019年

11 /11

13:00〜16:00

会場:国立京都国際会館

定員:1,500人(申込受付順)

入場無料

ワークショップ

太陽劇団の軌跡

2019年

11 /13

18:30~20:00

会場:早稲田大学国際会議場 井深大記念ホール

定員:400名(申込受付順)

入場無料

業績ダイジェスト

半世紀以上にわたって演劇創造の方法と表現を革新し続け、独創的な作品を世界に送り出した演出家

創立した太陽劇団とともに、歴史と政治を主題にする、国際的評価の高い傑作を生み出し続けている。ヒエラルキーを排した独特の劇団組織と方法論としての集団創作によって舞台芸術の創造を原理から捉え直し、古今東西の伝統芸能を参照することで舞台表現を革新している。

贈賞理由

アリアーヌ・ムヌーシュキン氏は1964年に創設した「太陽劇団」を半世紀以上率い、国際的に評価された傑作を次々と世に創出した。その卓越した才能の根幹には演劇は共同で考え、創造し、享受すべきだとの信念がある。氏は多様な人材を糾合し、彼らの中に眠っている技能や創造力を開花させることで、劇団員の高い精神性と奔放な想像力を育んだ。
制作に際して氏はまず演劇作品のあり方を問い、舞台芸術の創造を原理からとらえ直そうとした。それはヒエラルキーを排した劇団組織や、舞台創造の方法論としての集団創作に現れている。さらに観客を演劇に欠かせないもう一人の「創造者」として位置付け、俳優・演出家と観客の間に強い関係を築くことを意図した。パリ郊外のカルトゥシュリーを拠点とする劇団の公演はさまざまな人々が出会う祝祭的な場として体験され、「民衆演劇」の理想を実現したと言える。
氏は観客の感性に訴えるためサーカス、コメディア・デラルテ、日本の能、歌舞伎、文楽、インドのカタカリ舞踊劇などの伝統芸能を参照しつつ、身体性を重視した演技法を探求した。それらを現代人の感性で再構築し、俳優の即興演技を生かした独自の方法を案出した。その一つが文楽に想を得た『堤防の上の鼓手』(1999)だ。ここで追求したのは演劇を舞踊、音楽、文学など他の分野と融合させた総合芸術で、現代演劇で行われた同様の試みの中でも傑出した成果をあげた。1980年代初頭には『リチャード二世』(1981)を皮切りにシェイクスピア三部作を上演、古典劇の新演出でも優れた手腕を発揮した。それまでの作品『1789』(1970)などと同じく、同時代人とともに自らの歴史を把握し直し、混沌とした現代の闇を明示しようと試みた。エレーヌ・シクスー氏の叙事詩によりカンボジアの大虐殺を描いた『カンボジア王シアヌークの恐るべくも未完の物語』(1985)や、数々の証言に基づいて難民らの苦闘を綴った『最後のキャラバン宿』(2003)などでは適度の娯楽性を保ちつつ、同時代人の歴史・政治への強い意識啓発を促した。
かくのごとく、ムヌーシュキン氏の活動は演劇創造の方法と表現を革新し、世界的に大きな刺激と影響を与え続けている。以上の理由によって、アリアーヌ・ムヌーシュキン氏に思想・芸術部門における第35回(2019)京都賞を贈呈する。

プロフィール

略歴
1939年
フランス ブローニュ゠ビヤンクール生まれ
1950年代後半
オックスフォード大学演劇協会と実験演劇クラブに参加
1959年
ソルボンヌでパリ学生演劇協会を結成
1964年
太陽劇団を結成
1970年
ヴァンセンヌのカルトゥシュリーを太陽劇団の本拠地とする
1984年
エレーヌ・シクスーとの協働を開始する
2005年
カブールでアフターブ劇団の基礎となるワークショップを開く
主な受賞・栄誉
1987年
ヨーロッパ演劇賞
1993年
オビー賞特別賞
2005年
ローマ第三大学名誉博士号
2007年
ヴェネツィア・ビエンナーレ栄誉金獅子賞
2008年
オックスフォード大学名誉博士号
2009年
国際イプセン賞
2012年
スタニスラフスキー賞
2015年
パブロ・ネルーダ芸術文化勲章、チリ政府
2017年
ゲーテ賞、フランクフルト市
主な作品
1964年
『小市民』(マクシム・ゴーリキー)
1967年
『調理場』(アーノルド・ウェスカー)
1970年
『1789』
1975年
『黄金時代』
1981年
『リチャード二世』(ウィリアム・シェイクスピア)
1985年
『カンボジア王シアヌークの恐るべくも未完の物語』(エレーヌ・シクスー)
1987年
『インディアード』(エレーヌ・シクスー)
1990–1992年
『アトレウス家の人々』:『アウリスのイピゲネイア』(エウリピデス)、 『アガメムノーン』『供養する女たち』『慈しみの女神たち』(アイスキュロス)
1999年
『堤防の上の鼓手』(エレーヌ・シクスー)
2003年
『最後のキャラバン宿(オデュッセイア)』
2006年
『エフェメール』
2010年
『愚望に溺れる難破者たち』(エレーヌ・シクスーと共作)
2016年
『インドの部屋』

プロフィールは受賞時のものです