Carver MeadElectronics Engineer and Applied Physicist先端技術部門

研究イメージ

著しく複雑化するVLSI
システムをどう設計するか?

大規模集積回路(VLSI)システム設計の
指導原理の構築と確立への先導的貢献

カーヴァー・ミード/ 電子工学者・応用物理学者

大規模集積回路(VLSI)の進歩に伴って複雑化する設計過程を、論理設計・回路設計・レイアウト設計に階層化し、製造工程から切り離す新たな方法論を提案・推進した。また各設計過程を自動化するCAD技術の確立にも多大な寄与をなし、VLSIを基盤とするエレクトロニクス技術と産業の発展に大いに貢献した。

KEYWORDS

  • #大規模集積回路(VLSI)システム
  • #設計と製造の分離
  • #半導体設計用CAD

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情報革命の時代を生きて

何百万個ものトランジスタを搭載した複雑な集積回路を設計し、その製造に必要なマスクパターンを生成することが実用上可能になるまでには、数多くのイノベーションが必要でした。まず、半導体製造関係者が、トランジスタが極めて小さくなっても正常に機能するということをはっきり認識しなければなりませんでした。次に、機能設計、アーキテクチャ設計、論理設計、回路設計、マスクの図形パターン設計など、設計の全ての過程を人手ではなく、コンピュータプログラムにより記述する設計上の枠組みが必要でした。また、そのような枠組みでは、各過程の相互関係を包括的に捉える方針に沿って、設計の全過程が進められていくのです。それから、コンピュータによって精密なマスクパターンを作り出すための、パターン生成コードを作成するコンピュータツールも必要でした。このような設計上の枠組みにより、実際に使えるVLSIチップを作り出せることが示された後は、専門家でなくても理解できるような、実際の集積回路に関する統一した見方が形づくられ、それまでの蓄積が全て大学教育に取り入れられることになったのです。その結果、世界は変わっていったのです。

問題はもはや「どのようにしてより優れたトランジスタを作るか」ではなく、「1000万個の可動部品があるものを作って、どうやって動作させるのか?」だったのです。
カーヴァー・ミード

カーヴァー・ミード/ 電子工学者・応用物理学者

プロフィール

略歴
  • 1934年米国カリフォルニア州ベーカーズフィールド生まれ
  • 1959–1962年カリフォルニア工科大学 助教
  • 1960年カリフォルニア工科大学 博士(電気工学)
  • 1962–1967年カリフォルニア工科大学 准教授
  • 1967–1977年カリフォルニア工科大学 教授
  • 1977–1980年カリフォルニア工科大学 コンピュータ科学・電気工学教授
  • 1980–1992年カリフォルニア工科大学 ゴードン・アンド・ベティ・ムーア コンピュータ科学教授
  • 1992–1999年カリフォルニア工科大学 ゴードン・アンド・ベティ・ムーア工学・応用科学教授
  • 1999年–カリフォルニア工科大学 ゴードン・アンド・ベティ・ムーア工学・応用科学名誉教授
主な受賞・栄誉
  • 1971年トーマス・D・カリナン賞、米国電気化学会
  • 1981年業績賞(リン・コンウェイと共同受賞)、Electronics
  • 1984年IEEEセンテニアル・メダル
  • 1984年ハロルド・ペンダー賞(リン・コンウェイと共同受賞)、ペンシルベニア大学
  • 1985年ハリー・H・グッド記念賞、米国情報処理学会
  • 1985年ジョン・プライス・ウェザリル・メダル(リン・コンウェイと共同受賞)、フランクリン協会
  • 1987年名誉博士、ルンド大学
  • 1987年ウォルター・B・リストン公共政策賞、ハドソン研究所
  • 1991年名誉博士(理学)、南カリフォルニア大学
  • 1996年IEEEジョン・フォン・ノイマン・メダル
  • 1997年ACM-AAAIアレン・ニューウェル賞
  • 1999年レメルソンMIT賞
  • 2001年ディクソン賞科学部門、カーネギーメロン大学
  • 2002年米国国家技術賞
  • 2003年サイモン・ラモ創設者賞、米国工学アカデミー
  • 2009年米国発明家殿堂入り
  • 2011年BBVA財団フロンティアーズ・オブ・ナレッジ賞情報通信技術部門
  • 会員IEEE、スウェーデン王立工学アカデミー、フランクリン協会、 米国科学アカデミー、米国芸術科学アカデミー、米国工学アカデミー、 米国発明家アカデミー、米国物理学会

※ プロフィールは受賞時のものです

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