Message & Greeting

名誉総裁のお言葉と
主催者からのご挨拶

お言葉

稲盛財団名誉総裁
高円宮妃久子殿下

稲盛財団では、6月に本年度の京都賞受賞者を決定いたしました。新たな受賞者が京都賞の歴史に加わることを大変嬉しく思うとともに、第37回京都賞を受賞されました、先端技術部門のカーヴァー・ミード博士、基礎科学部門のブライアン・T・グレンフェル博士、思想・芸術部門のザーキル・フセイン博士に、心よりお祝い申し上げます。

これら3名の受賞者は、長年にわたり科学や芸術の発展に貢献され、社会を潤いのある素晴らしいものとするために尽力され、人類に夢と幸福を与える努力を重ねてこられました。その偉業に対し、深く敬意を表します。

本年8月24日、財団創立者である稲盛和夫氏が90歳の天寿を全うされました。京都賞は、稲盛氏の「人のため、世のために尽くす」という理念のもとに、科学や文明の発展、また人類の精神的な深化、高揚の面で大いなる貢献をされた方々を讃えるものとして1984年に創設されました。今では、我が国を代表する国際賞として、その評価を高め、世界の賞の中でも際立ったものの一つにまで成長してまいりました。

稲盛財団では、1985年の第1回授賞式より、受賞者の皆様を京都にお迎えし、多くのご臨席の皆様とともにその功績を讃えてまいりました。しかし、ここ数年は、新型コロナウイルス感染症の拡大による社会情勢の変化によって、これまでのように皆様をお迎えすることがかなわず、心より残念に思います。一日も早く、再び受賞者をお迎えし、皆様とご一緒に、晴れやかにお祝いできますことを心待ちにしております。

今回、新たに京都賞にその名を刻まれた3名の受賞者が、今後もさらに活躍され、世界の文明、科学、精神的深化のためにさらなる貢献をされますことを、そして人類の叡智を顕彰し続けるこの京都賞が、その未来に大きく寄与し続けることを心より願っております。

あらためまして、稲盛和夫氏が京都賞を設立され、大切に育んでこられたことに敬意を表しつつ、その御霊のご平安をお祈り申し上げます。

ご挨拶

稲盛財団
会長 中西 重忠
理事長 金澤 しのぶ

本年2022年の第37回京都賞受賞者は、先端技術部門が、電子工学者・応用物理学者でカリフォルニア工科大学 ゴードン・アンド・ベティ・ムーア工学・応用科学名誉教授のカーヴァー・ミード博士、基礎科学部門が、集団生物学者でプリンストン大学 キャスリン・ブリガー・アンド・サラ・フェントン生態・進化生物学および公共政策教授のブライアン・T・グレンフェル博士、思想・芸術部門が、タブラー奏者のザーキル・フセイン博士に決定いたしました。稲盛財団を代表してお祝い申し上げますとともに、京都賞の歴史に、新たに偉大な3名のお名前が加わったことを、心より嬉しく思います。

稲盛財団は、京セラ創業者である稲盛和夫によって1984年に設立されました。翌年に開催された第1回京都賞授賞式より、先端技術、基礎科学、思想・芸術の3部門で素晴らしい功績を上げ、人類社会に大きく貢献された方々を顕彰してまいりました。

賞の創設にあたり、稲盛はその想いを「京都賞の理念」としてまとめました。「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」との人生観をもとに、自分を育ててくれた人類社会への還元、科学技術の進歩と人類の精神的深化のバランスのとれた発展への願いなどが記されています。これまで賞を受けられた方々は、いずれも人類の未来をも変えうるような力にあふれ、その仕事への情熱、人類への愛、真摯な生き方とともに私たちに深い感銘を与えてきました。こうして稲盛が賞に託した想いは、多くの方々のご理解を得て、今日に至っております。

昨年は新型コロナウイルスの感染状況を考慮して授賞式等の関連行事は行わず、オンライン配信による記念講演をご視聴いただきましたが、本年につきましても同様とさせていただきます。受賞者を京都に迎え、その卓越した専門性や素晴らしい人間性に直接触れて欲しい、との私たちの願いは残念ながらかないませんが、是非、多くの方々にご聴講いただき、受賞者のこれまでの足跡とともにその叡智に触れ、受賞者や京都賞へのご理解を深めていただければ幸いです。

受賞者選考にご協力いただいた方々、また日本国政府、京都府、京都市等の行政関係者、そして日頃よりご理解、ご支援を賜っております多くの皆様に改めて厚く御礼を申し上げます。再び、皆様とともに、素晴らしい京都賞受賞者をここ京都にお迎えし、式典ならびに関連行事が開催できますことを心より願っております。