第38回(2023)京都賞の受賞者が決まりました!

先端技術部門

 

柳町 隆造
Ryuzo Yanagimachi
生殖生物学者
ハワイ大学 名誉教授
受精メカニズムの解明と顕微授精技術確立への貢献
哺乳動物において、体外受精の方法を確立して受精現象の詳細な解析を進め、さらに精子を卵細胞質に直接顕微注入する卵細胞質内精子注入法の開発と技術革新を行って顕微授精技術を確立し、現代社会において重要な生殖補助技術の展開に基礎研究と技術開発の両面で大きく貢献した。
受賞を受けて
哺乳類の体外受精の父であるM・C・チャン博士の下でポスドクとして研究を始めた際、哺乳類の受精プロセスを分析してみたいと思いました。ハワイ大学に着任してからは、同僚と一緒に、さまざまな動物や手法を使って受精プロセスの各段階の研究に取り組みました。顕微鏡下での人工授精は、精子と卵子の「隠れた」能力を探る手法の一つでした。ずっと後になってから、顕微鏡下で精子を卵子に注入することが、男性不妊症に対して効果的な場合があるということに臨床医たちが気付きました。私は臨床研究には直接関与することはめったにありませんでしたが、私たちの研究に端を発して、不妊に悩む多くのカップルが喜びに恵まれたことは大変うれしく思います。

基礎科学部門

 

エリオット・H・リーブ
Elliott H. Lieb
数学者・物理学者
プリンストン大学 名誉教授
多体系の物理学をベースにした、物理学・化学・量子情報科学における先駆的な数学的研究
量子物理学を中心とした数多くの業績を通して、物理学、化学、量子情報科学など広範な分野における数理的な研究の基盤を確立し、さらに、数学の解析学の分野でも大きな貢献をした。現代の数理科学における巨人の一人である。
受賞を受けて
この度、京都賞受賞者に選ばれたことを大変光栄に思います。京都賞の創設者である稲盛和夫博士は、私と生年が同じであるだけでなく、哲学においても私の研究や教育の活動指針と共通するところがあります。私の人生の文化的、科学的な側面において重要な役割を果たした都市で、数学や物理学の分野における私の研究成果が顕彰されることは本当にうれしい限りです。京都は、1956年、私がポスドクになって最初の論文を書いた地であり、日本文化に魅了された私の人生に深遠な影響を与え続けてきた場所でもあるのです。

思想・芸術部門

 

ナリニ・マラニ
Nalini Malani
美術家
揺れ動く歴史を生きる経験に基づき、声なき者の声を届ける表現を開拓し、美術の「脱中心化」に非欧米圏から貢献した美術家
親しみやすい形式と多様な媒体を用いた夢幻的な空間を創出し、抑圧に苦しむ「声なき者の声」を多くの人々に届ける表現を開拓してきた。非欧米圏の美術家として、世界的に活動し続け、欧米を中心に作られた従来の美術観を見直す潮流に大きく貢献した。
受賞を受けて
私は人生を通じ、美術家として社会と人類の進歩に貢献しなければならないと常々感じてきました。激動の波に直面する21世紀のこれからは、女性的なものの見方をより一層考慮に入れることが急務だと強く信じています。感情、社会、技術、それらの諸要素をバランスよく結びつけることが、これまで以上に重要になってきます。私の芸術活動が今年の京都賞に値すると認めていただき、大変恐縮すると同時に、この上なく光栄に思います。稲盛財団に深く感謝いたします。

  

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