ムンク博士:型破りな挑戦をつづけた海洋学の偉人

Photo: Erik Jepsen/UC San Diego.

ことし2月8日、偉大な海洋学者が、101年というその長い人生の旅路を終えました。ウォルター・H・ムンク博士そのひとです。

彼は、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリップス海洋研究所の研究者として、地球規模の実験、卓越したアイデアで、それまで常識とされた事象をくつがえす、いくつかの学説を実証しました。たとえば、永らく解決済みの常識とされていた潮汐についての実験。圧力計を深海の底に落とし、外洋の潮汐を計測する方法を新たに開発すると、月による潮汐力によって深海をかき混ぜる力が生まれることを指摘。この理論を発表した頃には「正気の沙汰ではない」という扱いを受けながら、1年後には当然のこととして世界の学術界で受け容れられました。

既成概念を幾度となく乗り越える挑戦をつづけ、彼はいつしか「海洋学のアインシュタイン」と呼ばれるようになりました。米国サンディエゴ市はその功績を讃え、スクリップス海洋研究所ちかくのLa Jolla(ラ・ホーヤ)ビーチ沿いの道を、「Walter Munk Way」と命名しました。
ムンク博士はサンディエゴで開かれる米国京都賞シンポジウムにおいて、受賞者や来賓を温かく迎え入れ、現地のみならず、多くの関係者にいつも愛され慕われる存在でした。

常識にとらわれず、自らの信念のもとに実験をつづけ、最後まで一人の研究者として現役であり続けたムンク博士。そのあくなき挑戦心は、多くの若い科学者にモチベーションを与えつづけました。その精神は、これからも後進に語り継がれ、受け継がれていくことでしょう。

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