
Laurie Anderson
第41回(2026)受賞
音楽
/ マルチメディア・アーティスト
1947 -
斬新なアイデアとユーモアをもってテクノロジーを駆使しながら、音楽、美術、映像などの領域を横断する活動を展開し、語る声、身体、電子メディアが一体となって提示される実験的かつポップな独自のマルチメディア・パフォーマンスの表現を確立した。
ローリー・アンダーソンは、テクノロジーを駆使して、音楽、美術、映像などの領域を横断した実験的な活動を行ってきた。彼女は、斬新なアイデア、身体性、ユーモアによって、さまざまな電子メディアを駆使する独自のマルチメディア・パフォーマンスの表現を確立した。
アンダーソンは、1970年代、ニューヨークにおける現代アートや現代音楽のシーンとパンク/ニュー・ウェイヴの影響下で、自身のパフォーマンス・アートを開花させた。1981年に、自らの声を無機質な音声に加工した極めてシンプルなループをバックに歌われる楽曲《オー・スーパーマン》がヒットしたことをきっかけに、1982年にこの曲を含むアルバム『ビッグ・サイエンス』がメジャーのレコード会社から発売されるに至り、彼女はポピュラー音楽のマーケットでも注目を浴びた。続けて1983年、彼女は、8時間近い大作のパフォーマンス作品《ユナイテッド・ステイツ1–4》を成功させた。このような1980年代の彼女の活躍を筆頭に、身体表現に映像や音響などの要素を交えたパフォーマンス・アートは活況を見せた。アンダーソンはアヴァンギャルド・アートとポピュラー音楽の仲介者ともなり、ビート・ジェネレーションの小説家のウィリアム・S・バロウズや、メディア・アーティストのナム・ジュン・パイク、音楽家のフィリップ・グラス、そしてパートナーでもある音楽家のルー・リードらとの共同作業を行ってきた。
アンダーソンのパフォーマンスは、語る声、身体、電子メディアが一体となって提示されるもので、その実験的かつポップなあり方は、数多くのアーティストに影響を与えてきた。彼女のパフォーマンスには、メディアや科学技術への批評的表現、電子的に声のピッチを変えて男声に変調するなどの機材操作や中性的なコスチュームによって、既存のジェンダーのあり方を揺るがせる表現が含まれている。また、彼女が用いる楽器や装置の多くは、自ら考案したものであり、パフォーマンスにおいて視覚性と聴覚性の関係を刷新する役割を果たしてきた。
アンダーソンは、2002年にアメリカ航空宇宙局(NASA)で最初のアーティスト・イン・レジデンスに選ばれると、そこからインスピレーションを得て、2004年のパフォーマンス作品《月の終焉》を制作、2019年にはニュー・メディア・クリエイターのホアン・シンチェンとともにヴァーチュアル・リアリティ作品《トゥー・ザ・ムーン》を発表するなど、最新のメディア表現を用いて旺盛に活動してきた。そして何より彼女は、2018年に弦楽四重奏団のクロノス・クァルテットとの共作でハリケーン・サンディでの経験を主題にしたアルバム『Landfall』を、2024年に女性飛行士アメリア・イアハートの最後の飛行を主題にしたアルバム『Amelia』を発表するなど、独特の物語性をもった音楽作品を作り、世界中のさまざまな人々に大きな刺激を与え続けている。
プロフィールは受賞時のものです