オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院での公開講演 (C) John Cairns
5月6日と7日、英国オックスフォード大学で「Kyoto Prize at Oxford 」が開催されました。2024年の京都賞受賞者であるジョン・ペンドリー博士(先端技術部門)、ポール・F・ホフマン博士(基礎科学部門)、ウィリアム・フォーサイス氏(思想・芸術部門)による公開講演やパネルディスカッションが行われました。現地での様子をお知らせします。
5月6日にはフォーサイス氏の講演が、7日にはペンドリー博士とホフマン博士の講演が、それぞれオックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院のメインホールであるイナモリ・フォーラムで行われました。会場には、大学関係者や学生、地元の高校生、その他多くの来場者が詰めかけ、熱気に包まれました。
(C) John Cairns
講演では、各受賞者が自らのキャリアに影響を与えた出来事や、京都賞受賞に至るまでの道のりについて語り、聴衆は熱心に耳を傾けていました。講演後には、オックスフォード大学の教授らの進行のもと受賞者と聴衆の間で質疑応答が行われ、「振付と物語性との関係は?」「メタマテリアルと量子コンピューティングのような新たな物理分野との融合の可能性は?」など多彩な質問が寄せられました。受賞者の回答は、議論された内容に対する聴衆の理解を促すものとなりました。
講演後の質疑応答 (C) John Cairns
5月6日午後には、3名の受賞者全員が登壇するパネルディスカッションが行われました。この形式のパネルディスカッションは、日米英の3カ国にて展開される京都賞関連行事の中でもKyoto Prize at Oxfordでのみ開催されています。
オックスフォード大学ローズ・ハウスでのパネルディスカッション (C) John Cairns
ディスカッションはブラバトニック公共政策大学院のナイリー・ウッズ学長の司会で進行しました。「お互いに学び合ったことは?」という質問から始まり、フォーサイス氏に対してホフマン博士が「ダンスにおける個性は表現されるのか、それとも抑制されるのか?」と問いかける場面も見られるなど、活発で幅広い対話が繰り広げられました。その後、話題は現在の政治情勢が学問の自由や科学研究に及ぼす影響、そして受賞者たちが政府に伝えたいメッセージなどへ展開しました。
最後には聴衆からの質問も受け付けられ、「人類が今していることを踏まえて、この地球上で生命が今後も生き延びられると、どの程度楽観視していますか?また全球凍結が起きたとしても生き延びられるでしょうか?」といった問いも飛び出し、盛況のうちに終了しました。
5月6日の夕刻には、オックスフォード大学名誉総長のウィリアム・ヘイグ卿と、ナイリー・ウッズ学長の共催による歓迎ディナーがローズ・ハウスで開かれました。駐英国日本国大使の鈴木浩氏は挨拶で本イベントの開催に対する感謝を述べ、変化の時代において人類の未来に貢献することの大切さに触れました。ディナーには研究者や学生など約120名の招待客が出席し、文化と学術の活気ある交流のなか、賑やかに幕を閉じました。
ローズ・ハウスでのディナーの様子(C)John Cairns
ブラバトニック公共政策大学院テラスでのクロージングレセプション(C)John Cairns
▶「Kyoto Prize at Oxford」とは
2016年に稲盛財団と英国オックスフォード大学がお互いの価値観や哲学を共有し、新たなパートナーシップを締結。毎年5月、同大学のブラバトニック公共政策大学院が、京都賞受賞者を招き、公開講演会やパネルディスカッションなど知的刺激に富んだ多彩なプログラムを2017年より開催しています。今回で8回目となります。
イベント会場のブラバトニック公共政策大学院 (C) John Cairns
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