人工知能の理論的基盤を拓く先駆的貢献と情報幾何学の確立 |
人工ニューラルネットワークにおける先駆的な研究を行うとともに、微分幾何学の手法を用いて統計モデルを研究する情報幾何学の分野を確立して多くの重要な理論を提唱した。さまざまな分野に影響を与える理論と応用の両面にわたる貢献は、今なお極めて大きな意義を持ち続けている。 |
受賞を受けて |
京都賞は創立者である稲盛和夫氏の理念に基づき、人類の文明へ貢献した人々を顕彰する国際的に有名な学術賞です。私が受賞するとは夢にも思いませんでしたので、ただ感慨無量です。私は情報科学の基礎を数理の立場から攻究し、なかでも人工知能の基礎技術や数理脳科学、そして情報幾何学といった基礎的な分野で研究を続けてまいりました。多くの先輩や同僚に支えられて、自分の好き勝手な研究がこうして実を結んだことを大変に喜んでいます。 |
哺乳類におけるゲノムインプリンティングの発見および分子機構の解明 |
哺乳類の正常な発生には父親および母親由来両性のゲノムが必須なことを示した上で、それぞれに特異的な修飾と相補的な機能を付与するゲノムインプリンティングを発見した。加えて、作動機序の解明も先導し続け、生命科学の広範な分野にわたる基盤的知見の形成に貢献した。 |
受賞を受けて |
この度は権威ある京都賞を頂き、大変光栄に思います。これまで、アシスタント、学生、ポスドクの方々と取り組んできた研究は、重要な発見につながり、私たちの分野を大きく発展させてきました。また、私の研究室出身の多くが自身の研究室を立ち上げ、さまざまな分野で指導的な役割を果たしていることを誇りに思います。こうした才能豊かな若い研究者たちと共に働くのは、ありがたいことに、私の研究者人生を通じて常にインスピレーションの源になっています。今回の受賞にあたり、長年にわたり研究を共にした全ての方々に心より感謝いたします。 |
女性の思考と行動の分析を通じて従来の心理学理論の歪みと限界を指摘し、「ケアの倫理」の新たな地平を開拓 |
人びとの関係性を重視する「ケア」の観点を女性の道徳観として劣位に置く従来の心理学理論が、人格形成のモデルを狭隘にしている点を批判し、「正義の倫理」と「ケアの倫理」との編み合わせを展望することで、ケアに関わるグローバルな課題に取り組む新たな学問的基礎を築いた。 |
受賞を受けて |
私の業績を認めていただいたことは大変な栄誉であり、感激しております。女らしさや男らしさに分断されることのない人間としての対話に、女性や少女たちの声を取り入れる仕事の重要性に対して、こうして深い理解と評価をいただき、非常に光栄に思います。また、ピナ・バウシュとマーサ・ヌスバウムという、それぞれの方法で私の仕事にも刺激を与えてくれたお二人と同じ賞を頂けることになり、感極まる思いです。稲盛財団および選考委員の皆様がこの歴史的な情勢下で「ケアの倫理」に京都賞を授けてくださったことは私にとって特に意義深く、希望をもたらすものです。心より感謝申し上げます。 |
高円宮妃久子殿下のご臨席を仰ぎ、各国大使、総領事をはじめ、国内外から多くの招待者が集い、受賞者の栄誉を讃えます。式典では受賞者それぞれにディプロマ、京都賞メダル、賞金1億円が贈られます。
授賞式直後に3部門の受賞者を囲んで記者会見を行います。
授賞式に引き続き高円宮妃久子殿下のご臨席のもと、国内外から多くの来賓が一堂に会し、晩餐会が催されます。
受賞者の業績だけでなく人生観や人柄にも触れられる、一般の方々を対象にした講演会です。その分野で世界の最高峰にある受賞者が、エピソードも交えながら、聴衆に語ります。各講演後には、インタビュアーが私たちの目線に立って、講演内容や人生観などについて受賞者に問いかけます。
2002年より米国カリフォルニア州サンディエゴ市にて京都賞受賞者を招いたシンポジウムを3月に開催しています。現在は地元NPOの京都賞シンポジウム組織と2大学(カリフォルニア大学サンディエゴ校、ポイント・ロマ・ナザレン大学)が主催しています。
英国オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院が、京都賞受賞者を招き、公開講演会やパネルディスカッションなど知的刺激に富んだ多彩なプログラムを2017年より開催しています。