Message & Greeting

名誉総裁のお言葉と
主催者からのご挨拶

お言葉

稲盛財団名誉総裁
高円宮妃久子殿下

昨年、世界的なコロナウイルス感染症拡大により、京都賞は1年の延期を余儀なくされました。このたび、あらたな京都賞受賞者を決定し、皆様にご紹介できますことを、大変嬉しく思います。

第36回京都賞を受賞されました先端技術部門のアンドリュー・チーチー・ヤオ博士、基礎科学部門のロバート・G・レーダー博士、思想・芸術部門のブリュノ・ラトゥール博士に、心よりお祝い申し上げます。

この3名の受賞者は、長年にわたり科学や芸術の発展に貢献され、社会を潤いのある素晴らしいものとするために尽力され、人類に夢と幸福を与える努力を重ねてこられました。その偉業に対し、深く敬意を表します。

本来であれば、受賞者を京都にお迎えしてその栄誉を讃え、皆様とともにお祝い申し上げるところ、本年は未だ感染の収束が見通せない状況のため、それが叶いません。しかしながら近い将来、わたくしたちが讃え続けてきた叡智によってこの災厄に打ち勝ち、皆様とご一緒に京都の地でお祝いできますことを、私は信じてやみません。

京都賞は、財団創立者である稲盛和夫氏の「人のため、世のために尽くす」という理念のもとに、科学や文明の発展、また人類の精神的な深化、高揚の面で大いなる貢献をされた方々を讃えるものとして1984年に創設されました。今では、我が国を代表する国際賞として、その評価を高めております。

今回、新たに京都賞にその名を刻まれた3名の受賞者が、今後もさらに活躍され、人類社会の幸福と安寧に貢献されますことを、そして人類の叡智を顕彰し続けるこの京都賞が、人類社会の未来に大きく寄与し続けることを心より願っております。

ご挨拶

稲盛財団
会長 中西 重忠
理事長 金澤 しのぶ

本年2021年の第36回京都賞受賞者は、先端技術部門が、コンピュータ科学者で清華大学 学際情報学研究院 院長のアンドリュー・チーチー・ヤオ博士、基礎科学部門が、生化学者・分子生物学者でロックフェラー大学 アーノルド・アンド・メイベル・ベックマン生化学・分子生物学教授のロバート・G・レーダー博士、思想・芸術部門が、哲学者でパリ政治学院 名誉教授のブリュノ・ラトゥール博士に決定いたしました。稲盛財団を代表してお祝い申し上げますとともに、京都賞の歴史に偉大な3名のお名前が新たに加わったことを、心より嬉しく思います。

稲盛財団は、京セラ創業者である稲盛和夫によって1984年に設立されました。翌年に開催された第1回京都賞授賞式より、先端技術、基礎科学、思想・芸術の3部門で素晴らしい功績を上げ、人類社会に大きく貢献された方々を顕彰してまいりました。

賞の創設にあたり、稲盛はその想いを「京都賞の理念」としてまとめました。「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」との人生観をもとに、自分を育ててくれた人類社会への還元、科学技術の進歩と人類の精神的深化のバランスのとれた発展への願いなどが記されています。これまで賞を受けられた方々は、いずれも人類の未来をも変えうるような力にあふれ、その仕事への情熱、人類への愛、真摯な生き方とともに私たちに深い感銘を与えてきました。こうして稲盛が賞に託した想いは、多くの方々のご理解を得てまいりました。

私ども稲盛財団では、今後ともこの京都賞を通じて人類の科学と精神の両面での発展を促し、人類社会の幸福と安定に向けて未来永劫貢献し続けたいと考えております。

昨年は、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、京都賞を1年延期いたしました。残念ながら、このパンデミックの影響により、本年も受賞者の方々を京都へお迎えしての授賞式を執り行うことはかないませんが、記念講演についてはオンラインでの配信を行うことといたしました。是非、多くの方々にご聴講いただき、各人のこれまでの足跡とともにその高い知性や専門性、深い人間性などを通して、受賞者や京都賞へのご理解を深めていただければ幸いです。

受賞者選考にご協力いただいている方々、また日本国政府、京都府、京都市等の行政関係者、そして日頃よりご理解、ご支援を賜っております多くの皆様に改めて厚く御礼を申し上げます。再び、皆様とともに、素晴らしい京都賞受賞者をここ京都にお迎えし、式典ならびに関連行事が開催できますことを心より願っております。