第37回(2022)京都賞の受賞者が決まりました!

先端技術部門

 

カーヴァー・ミード
Carver Mead
電子工学者・応用物理学者
カリフォルニア工科大学 ゴードン・アンド・ベティ・ムーア工学・応用科学名誉教授
大規模集積回路(VLSI)システム設計の指導原理の構築と確立への先導的貢献
大規模集積回路(VLSI)の進歩に伴って複雑化する設計過程を、論理設計・回路設計・レイアウト設計に階層化し、製造工程から切り離す新たな方法論を提案・推進した。また各設計過程を自動化するCAD技術の確立にも多大な寄与をなし、VLSIを基盤とするエレクトロニクス技術と産業の発展に大いに貢献した。
受賞を受けて
情報技術は、私がカリフォルニア工科大学で教鞭を執り始めた1959年以降、各種電子機器によって大きな発展を遂げました。この驚くべき進化の一端に関わり、貢献できたことは、何ものにも代え難い喜びです。私はこの情報技術こそ人類の精神を自由にし、世界をより良いものにできる可能性を秘めていると思い、人生を捧げて取り組んできました。この分野への献身と貢献が認められ、京都賞を頂けることを、大変光栄に思っております。

基礎科学部門

 

ブライアン・T・グレンフェル
Bryan T. Grenfell
集団生物学者
プリンストン大学 キャスリン・ブリガー・アンド・サラ・フェントン生態・進化生物学および公共政策教授
病原体の進化と感染拡大を統一的に分析する革新的方法論の開拓
進化を考慮してRNAウイルス感染症の消長を予測する方法論「ファイロダイナミクス」を提案し、免疫動態・疫学・進化学を統合した研究分野の開拓・発展に貢献した。これらの成果に基づき、さまざまな感染症の感染メカニズムの理解や効果的な感染予防方針の提案に大きな役割を果たした。
受賞を受けて
京都賞は幅広い分野において人類の発展に貢献した人を讃える賞としてよく知られています。私の研究が、今年の京都賞基礎科学部門の受賞に値すると認めていただき、誠に光栄に存じます。感染症拡大の時空間動態や管理手法の効果を研究することに生涯をかけて打ち込んできたことは、大変光栄でこの上ない喜びです。また類まれなる優れた先生方や共同研究者、研究室の同僚、学生から数多くの示唆や友情を得られたことを何よりの幸運と感じています。今回頂ける京都賞は私自身の業績だけでなく彼らの見識や献身に対するものだと思います。稲盛財団に心より感謝の意を表します。

思想・芸術部門

 

ザーキル・フセイン
Zakir Hussain
タブラー奏者
インドの伝統打楽器タブラーの新たな音楽的可能性を切り開いた革新的創造力に富む芸術家
ヒンドゥスターニー音楽を代表するタブラー奏者であり、インド伝統音楽の枠組みを超えて世界中のさまざまなジャンルの音楽家と共演して新しい音楽世界を切り開いた。超絶技巧、魅力的なパフォーマンス、そして豊かな創造性により、世界の音楽家たちに絶大なインパクトを与えている。
受賞を受けて
第37回京都賞思想・芸術部門を謹んでお受けいたします。稲盛財団より授与していただくこの賞は、思いもかけない祝福となりました。私の技能や仕事が、この偉大な稲盛財団の信頼に値すると証明できる機会をいつか得られるよう祈っております。この度の受賞にあたり、京都賞が掲げる理念やご支援を素晴らしいと感じています。そしてこの受賞は創作活動を前進させる励みにもなります。私は、インドの古い伝統が与えてくれるものを表現する新たな方法を見出そうとし続けているのですから。創造性を養い、人間として最大の努力を払うため格別なるご支援を行う稲盛財団に心より御礼申し上げます。

 

行事について

 

授賞式等の行事につきましては、現段階において新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないことから本年度は中止とさせていただきます。記念講演はオンラインで配信する予定です。詳細は改めてウェブサイトにてお知らせいたします。

 

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