1997年先端技術部門エレクトロニクス
スタンレー・メイザー  写真

スタンレー・メイザー
(Stanley Mazor)

  • アメリカ / 1941年10月22日
  • ソフトウエア技術者
  • BEAシステムズ社 トレーニングディレクター

世界初のマイクロプロセッサの開発

4氏のグループは世界初のマイクロプロセッサ4004を開発し、広範な機能を備えたマイクロコンピュータが少数の半導体チップで構成できることを示すことにより、マイクロプロセッサを基盤として産業および民生機器のエレクトロニクス化の道を拓き、新産業の創成と現代社会に計り知れない貢献をした。

プロフィール

略歴

1941年
アメリカ、シカゴに生まれる
1963年
サンフランシスコ州立大学卒業(数学、プログラミング)
1964年
フェアチャイルド社入社
1969年
インテル社入社
4004マイクロプロセッサの開発に参画
その後、サンタクララ大学、スタンフォード大学、ストックホルムのKTHで教鞭をとる
1984年
シリコン・コンパイラ・システム社カスタムエンジニアディレクター
1996年
BEAシステムズ社トレーニングディレクター

主な受賞と栄誉

1986年
優秀論文賞、ゴマック・カンファレンス・ダイジェスト
1996年
ロン・ブラウン賞、アメリカ商務省
1996年
PCマガジン優秀技術賞、ホフ、ファジン、嶋と共同受賞
秋のコムデックス、アメリカ
1996年
著名な発明者の館表彰、アクロン、オハイオ
1996年
IEEE上級会員

主な論文・著書

1972年

“The MCS-4 An LSI Microcomputer System” with Hoff, M. E., Faggin, F., Shima, M. and other, IEEE

1974年

“An N-Channel 8-Bit Single Chip Microprocessor” with Faggin, F. and Shima, M., IEEE, ISSCC

1974年

3,821,715 Memory System for Multi-Chip Digital Computer with Faggin, F. and Hoff, M. E.

1989年

“Add First Division to your Next ASIC” with other, Electronic Design Magazine

1995年

“The History of the Microcomputer Invention and Evolution” Proceedings of the IEEE

1996年

“The History of the 4004” with Faggin, F., Hoff, M. E. and Shima, M., IEEE Micro

贈賞理由

世界初のマイクロプロセッサの開発

フェデリコ・ファジン博士、マーシャン・エドワード・ホフJr.博士、スタンレー・メイザー氏、嶋正利博士達4人のグループは、共同で1971年に世界最初の汎用マイクロプロセッサ4004を開発し、現代社会に絶大なインパクトを与え、世界の産業構造と社会構造に大きな変革をもたらした。

4氏が開発したマイクロプロセッサ4004は、3mm×4mmのシリコンチップ一枚の上に2300個のトランジスタを集積し、その能力は初期のコンピュータの時代には、一つの部屋を占有する程の大きさであった中央処理装置(CPU)の機能に匹敵するほどの革新的なものであった。

このマイクロプロセッサは、データや命令を収納するメモリーおよび入出力用のレジスタなどと組み合わせることにより、マイクロコンピュータというそれまでなかったシステムを可能とし、その構成要素やプログラムを変えることによって、数字・文字・画像の処理やシステムの制御など、多様な用途に効率よく対応するという全く新しい技術の流れを作り出す役割を果たした。トランジスタや集積回路の発明によってエレクトロニクスは顕著な技術革新をもたらしてきたが、マイクロプロセッサ4004の出現によってプログラムが可能になる電子部品の時代が始まり、さらに飛躍的な発展をすることとなったのである。この結果、システムを構築する技術もハードウエアとソフトウエアを有機的に活用する方式に移行し、いわゆる第二次産業革命の引き金となった。このマイクロプロセッサ4004の登場以降、今日まで約四半世紀が経過し、この間データ幅は4ビットから8ビットへ、さらに16ビットから32ビット、64ビットへと発展、その計算能力と処理能力は驚異的な向上を見せている。マイクロプロセッサ4004には、この発展を遂げつつある技術の基本概念が全て含まれていたといえる。

今日、マイクロプロセッサはパーソナルコンピュータをはじめとして、家電製品から自動車、通信機器、医療機器に組み込まれ、我々の日常生活の隅々まで浸透しており、さらに工作機械などの産業用機器にも幅広く普及している。およそ人間の発明したもので、マイクロプロセッサの開発と発展ほど短期間のうちに大きな影響を与えたものは他に見あたらない。こうした進展は、マイクロプロセッサ4004の誕生が契機となって創り出されたものであり、日米伊4名の技術者の成果なくしてもたらし得なかったものである。よって、ファジン博士、ホフ博士、メイザー氏、及び嶋博士に先端技術部門の第13回京都賞を贈呈する。

記念講演

記念講演要旨

我がコンピュータの旅

今から35年前に私が始めたコンピュータの旅路をたどり、以下の項目について説明します。

どのようにしてコンピュータの旅を始めたか

どのようにしてコンピュータのプログラマになったか

どのようにしてコンピュータの設計を始めたか

どのようにしてチップの設計を始めたか

マイクロプロセッサの開発でぶつかった困難や障害

どのようにしてこれらの障害を乗り越えたか

マイクロプロセッサの開発がもたらした波及効果

コンピュータの旅を通して私が学んだ5つの教訓

私の人生哲学

【関連情報】
記念講演録(PDF)
ワークショップ

ワークショップ

マイクロプロセッサの誕生からその未来へ

The Birth of Microprocessor and Future Possibility

日時
1997年11月12日(水)10:00~17:30
場所
国立京都国際会館
企画
大見 忠弘 [専門委員会委員]東北大学大学院工学研究科教授 榊 裕之 [専門委員会委員長]東京大学先端科学技術センター教授

プログラム

10:00
司会 榊 裕之
開会 榊 裕之
10:05
挨拶 稲盛 豊実 稲盛財団常務理事
10:10
挨拶 末松 安晴 [審査委員会委員長]高知工科大学学長
10:15
記念講演I マーシャン・エドワード・ホフJr. 先端技術部門受賞者
「マイクロプロセッサアーキテクチャの着想」
10:45
記念講演II フェデリコ・ファジン 先端技術部門受賞者
「マイクロプロセッサの誕生」
11:15
記念講演III 嶋 正利 先端技術部門受賞者
「マイクロプロセッサの未来」
11:45
記念講演IV スタンレー・メイザー 先端技術部門受賞者
「ICと設計ツールの進歩」
12:15
昼食
13:15
司会 大見 忠弘
講演 西谷 隆夫 日本電気シリコンシステム研究所所長代理
「マルチメディア時代のプロセッサ」
14:00
講演 南谷 崇 東京大学先端科学技術センター教授
「非同期式プロセッサの研究開発」
14:45
休憩
15:00
講演 中村 行宏 京都大学大学院工学研究科教授
「VLSIプロセッサの高位論理合成設計」
15:45
講演 浅田 邦博 東京大学大規模集積システム設計教育研究センター教授
「日本の大学でのVLSI設計教育」
16:30
講演 亀山 充隆 東北大学大学院情報科学研究科教授
「知能集積システムの新しいパラダイムを目指して」
17:15
質疑応答
17:30
閉会 大見 忠弘
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