2006年思想・芸術部門美術(絵画・彫刻・工芸・建築・写真・デザイン等)
三宅 一生 写真

三宅 一生
(Issey Miyake)

  • 日本 / 1938年4月22日
  • デザイナー

東西文化の融合と最先端技術の追求によって、衣服の革新的な発展に大きく寄与したデザイナー

平面である布と立体である身体との関係を独自の眼で捉え直し、「一枚の布」という、東洋文化に根ざした画期的な衣服の概念と最先端の技術の応用により、時、国籍、階級を超えて人々の生活の中に生きる衣服を創造し続けている。

プロフィール

略歴

1938年
広島市に生まれる
1959年
多摩美術大学図案科入学・卒業
1965年
パリへ渡る
パリ・クチュール組合の学校に学んだ後、ギ・ラロッシュ、ジヴァンシーでアシスタントデザイナー、ニューヨークのジェフリー・ビーンのスタジオのデザイナーを務める
1970年
帰国、三宅デザイン事務所設立
1971年
海外での初コレクションをニューヨークで発表
1973年
パリコレクションに初参加 以来、現在まで毎年発表し続けている
1988年
プリーツの仕事を開始
1993年
「プリーツプリーズ」スタート
1998年
「A-POC」発表
2004年
三宅一生デザイン文化財団発足

主な受賞と栄誉

1977年
毎日デザイン賞
1992年
朝日賞
1993年
フランス レジオン・ド・ヌール勲章シュヴァリエ受勲
1998年
文化功労者に顕彰
1999年
デンマーク 第一回ジョージ・ジェンセン賞
2004年
アメリカ オハイオ州立大学ウェクスナーセンターよりウェクスナー賞
2005年
第17回高松宮殿下記念世界文化賞 彫刻部門

主なコレクション発表・展覧会等

1971年

初の海外コレクションをニューヨークで発表

1973年

パリコレクションに初参加 以来毎年、現在まで

1977年

「三宅一生と一枚の布」展覧会 西武美術館

1979年

「Issey Miyake : East Meets West」アスペン・デザイン会議でのショー開催

1980年

「Casta Diva」モーリス・ベジャール演出の衣装デザイン(毛利臣男と共同)

1985年

「Issey Miyake Bodyworks : Fashion without Taboos」展覧会 ロンドン

1990年

「Energies」展覧会 ステデリック美術館 アムステルダム

1991年

ウィリアム・フォーサイス振り付けフランクフルト・バレエ団公演「The Loss of Small Details」衣装担当

1998-2000年

「Issey Miyake Making Things」展覧会 カルティエ現代美術財団、ニューヨークACEギャラリー、東京都現代美術館

2001年

「A-POC Making Issey Miyake & Dai Fujiwara」展覧会 Vitra Design Museum ベルリン

2005年

「Big Bang」展へのプリーツプリーズ参加 ポンピドゥーセンター パリ

贈賞理由

東西文化の融合と最先端技術の追求によって、衣服の革新的な発展に大きく寄与したデザイナー

三宅一生氏は、平面である布と立体である身体との関係を独自の眼で捉え直し、「一枚の布」という、東洋文化に根ざした画期的な衣服の概念と最先端の技術の応用により、時、国籍、階級を超えて人々の生活の中に生きる衣服を創造し続けているデザイナーである。

1970年代、三宅氏は和服や折り紙など日本の服飾・工芸文化の持つ、折り畳むことのできる造形を研究し、その成果を衣服のデザインに応用していった。1993年にスタートした「プリーツプリーズ」ではプリーツ(しわ、襞)の生む立体的な性質を応用し、フォルムを保ちつつも、体を縛らず、平たく折り畳める服を開発した。1998年以来の「A-POC」では最先端の製織技術を駆使して、服のデザイン、造形そのものを布に折り込み、筒状に織られた布がそれ自体で服として完成しているという、画期的なコンセプトを提示した。これらの製法の開発により、三宅氏は衣服デザインの一つの理想形を示しながら、同時にそれらが量産可能であることを証明し、衣服生産に大きな革新をもたらした。また三宅氏はこれらの試みの中で、洋の東西、時代、国籍、社会的な層に縛られない衣服デザインを創造し、新しい時代の衣服文化のあり方を示した。

三宅氏が他の芸術分野に対して与えた影響も大きい。ベジャール、フォーサイスそれぞれの率いるバレエの舞台に参画し、大きな成果を残す他、美術的観点からも三宅氏のデザインは、1998~2000年にパリ・カルティエ財団、NY・ACEギャラリー、東京都現代美術館で開催された個展「Making Things」、1990年アムステルダム市立美術館の「Energies」、2005年パリ・ポンピドゥーセンターの「Big Bang」展などで広く世界に紹介され、20世紀後半を特徴付ける芸術として高く評価されている。

20世紀に芸術の領域が広がりを見せ、ジャンルを超えた芸術が生まれる過程で、衣服デザインは三宅氏の業績によって、紛れもなく芸術の一分野であると認識されるに至った。三宅氏は人が着る衣服の意味とあり方を追求し、古代の伝統と最先端技術、西洋と東洋の造形を衣服の中に融合した。さらに三宅氏はその多面的な活動によって、他の芸術分野にも多大な影響を与えたのみならず、服飾デザインが現代の芸術において優れた表現力を持つメディアであると証明すると同時に、服飾生産という行為自体を哲学的な行為に昇華せしめた。

以上の理由によって、三宅一生氏に思想・芸術部門における第22回(2006)京都賞を贈呈する。

記念講演

記念講演要旨

一本の糸、一枚の布、一生の仕事

私は過去を振り返らずつねに前だけを見て生きてきました。

広島に生まれ原爆に遭った私は、その体験を、生きようとする力に変えながら仕事をしてきました。恐れず勇気をもって前へ進むことを教えてくれた母、創作の喜びを最初に教えてくれた懐かしい小学校の美術の先生。そして仕事の途上で数々の偉大な師に巡り会い深い影響を受け、友人たちからも多くを学びました。大きな転換点をもたらした出来事との出会いもあります。それらひとつひとつに示唆を受け導かれ、今日の私とその仕事があるのだと思います。

京都賞記念講演では、そうした心に残る出会いを縦糸にしながら、横糸は、日本と西洋二つの文化の狭間で探し続けた末にたどりついた「一枚の布」というコンセプトからスタートし、8年から10年ごとに変革してきた各時代の仕事、伝統と革新ということ、今取りかかっている新しい仕事、そして楽しみにしている次のプランについてもお話ししたいと思います。ものづくりのおもしろさを皆さんにお伝えできればと願っています。

【関連情報】
記念講演会(PDF)
ワークショップ

ワークショップ

「デザイン、テクノロジー、そして伝統」

Symposium: Design, Technology and Tradition

日時
2006年11月12日
場所
国立京都国際会館
企画・監修
高階 秀爾[(思想・芸術部門 審査委員会 委員長)京都造形芸術大学 大学院長]

プログラム

13:00
開会挨拶 高階 秀爾
受賞者紹介 深井 晃子 [(思想・芸術部門 専門委員会 委員)京都服飾文化研究財団 理事 / チーフ・キュレーター、静岡文化芸術大学 大学院 教授]
受賞者講演 三宅 一生 [思想・芸術部門 受賞者]
「デザイン、テクノロジー、そして伝統」
パネル討論 「21_21 DESIGN SIGHT ディレクターズ・トーク」
座  長 :高階 秀爾
受 賞 者 :三宅 一生
パネリスト: 安藤 忠雄[建築家、第18回京都賞 思想・芸術部門 受賞者]
       佐藤 卓 [グラフィックデザイナー]
       深澤 直人[プロダクトデザイナー]
       川上 典李子[デザインジャーナリスト]
16:30
閉会
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