1994年基礎科学部門数理科学(純粋数学を含む)
アンドレ・ヴェイユ 写真

アンドレ・ヴェイユ
(André Weil)

  • フランス / 1906年-1998年
  • 数学者
  • プリンストン高等研究所 名誉教授

代数幾何学及び数論における基礎研究を通じた現代数学への広汎な貢献

数論・代数幾何学を含む広範な領域での数々の先駆的研究によってきわめて顕著な研究成果をあげ、20世紀における最大級の巨星として、現代数理科学の飛躍的発展に大きく貢献した。
[受賞当時の対象分野: 数理科学]

プロフィール

略歴

1906年
フランス、パリに生まれる
1928年
パリ大学で博士号取得
1933年
ストラスブルグ大学教授
1947年
シカゴ大学教授
1958年
プリンストン高等研究所教授
1976年
プリンストン高等研究所名誉教授

主な受賞と栄誉

1979年
ウルフ賞
1980年
スティール賞
会員
パリ科学アカデミー
外国人会員
英国王立協会、 アメリカ科学アカデミー

主な論文・著書

1946年

Foundations of algebraic geometry. Amer. Math. Soc. Colleg. Publ. Vol. XXIX(Second edition 1962), 1946.

1948年

Sur les courbes algebriques et les varietes qui s’en deduisent.
Hermann, Paris Varietes abeliennes et courbes algebriques.
Hermann, Paris (Combined second edition, Courbes algebriques et varietes abeliennes. Hermann, Paris, 1971)

1958年
Introduction a l’etude des varietes kaleriennes.
Hermann, Paris, 1958.
1967年

Basic Number theory,Grundl. Math. Wiss. 144.
Springer-Verlag., 1967.

1978年
Andre Weil collected works. Volumes I -III.
Springer-Verlag.
贈賞理由

代数幾何学及び数論における基礎研究を通じた現代数学への広汎な貢献

アンドレ・ヴェイユ博士は、数学の広範な領域で先駆的研究を行い、極めて顕著な研究成果をあげ、純粋数学の今世紀における飛躍的発展の過程で、最も広く大きく貢献した偉大な数学者である。

博士自身の業績は多岐にわたって顕著である。博士は、数学の多分野にまたがる関連性や、特定分野を超越した類似の延長などにおいて、斬新な予想と発想を提示した。それらの中には、後々に実の多い研究を発足させた例も多い。特に、数論と幾何学の関係については、ヴェイユ博士の卓越した洞察力と独創的な着想が基盤となって、領域間にみごとな相互関連性が次々と発見され、解明された。

1940年代に博士は、交点理論の抽象化を柱とした抽象代数幾何学の基礎づけを完成し、数論と代数幾何学を融合させた研究の基盤を確立した。さらに、純代数的にアーベル多様体の理論を建設することに成功し、代数曲線やアーベル多様体の合同ゼータ関数に対するリーマン予想を解決し、非常に顕著な業績をあげた。そして博士は、1949年に、合同ゼータ関数の問題を高次元の代数多様体の場合に拡張して、精密な予想を提唱した。このヴェイユ予想は、単純な一般化ではなく、抽象的な代数多様体の位相に対する博士の深い洞察から生まれた定式化であり、その後の代数幾何全体の飛躍的発展において重要な指導原理となった。

ヴェイユ博士は、代数群に関する数論の確立、保型表現に関する研究の基礎づけ、数体上の代数多様体のゼータ関数(ハッセー・ヴェイユ関数と呼称される)の大域的研究など、数論の視点に立って、保型関数と代数幾何との結合を目指す研究を進め、数論の発展に大いに貢献した。また、位相群に対する調和解析、特性類の研究、ケーラー幾何学の基礎づけ、テータ関数の幾何学的研究など、幾何学の発展にも大きく貢献した。

ヴェイユ博士の数学的思想は純粋であり、普遍的である。その影響は数学の多数の分野に及んでいる。関数解析学、多変数関数論、位相幾何学、微分幾何学、複素多様体論、リー群論、数論、代数幾何学などの分野の研究者たちに博士が与えた思想的影響は測り知れないほど広大である。

ヴェイユ博士は第10回京都賞基礎科学部門の受賞者として最も相応しい。

記念講演

記念講演要旨

数学とブルバキ -我が半生-

本日の講演の目的は、数学者としてのアンドレ・ヴェイユの履歴を簡単に振り返ることであるが、ブルバキの創設にまつわる重要なエピソードにも触れたいと思う。

数学者はよく早熟であるといわれ、数多くの数学者が幼い頃から数学的な才能の片鱗を見せたという逸話に事欠かない。私の場合もまさにそうで、7歳の時に、すでに数学に没頭し始めた。旅行等による海外の文化的な影響もすぐに、人生を潤すようになる。数学教育は、ほとんどがパリのエコール・ノーマル・スペリエールでなされた。この学校の歴史はフランス革命にまでさかのぼり、多くの著名な科学者を生み出した所でもある。同校への入学希望者は非常に競争率の高い試験(自然科学と人文科学の両科目)を受けなければならず、学生および卒業生の間に育まれる堅い友情の精神が、同校の特色となっている。

ここで培われた友情の精神は、やがて、ブルバキとよばれる集団研究グループの設立につながっていくのである。1980年代に始まったこのグループ活動は、集団研究を通じて近代数理科学全体の最新の基礎を築きあげたのである。その始まりは、私とアンリ・カルタンがストラスブールで数年間、共同で基礎微分積分学のコースを受け持っていたことに端を発する。二人は、数人の仲間(エコール・ノーマル出身の若者ばかりであった)に呼びかけ、力を合わせて集団研究を始めたのであった。

【関連情報】
記念講演録(PDF)
ワークショップ

ワークショップ

整数論と幾何学の織りなす世界

A Mathematical Tapestry Woven from Number Theory and Geometry

日時
1994年11月12日(土)13:00~17:30
場所
国立京都国際会館
企画・司会
丸山 正樹 基礎科学部門専門委員会委員、京都大学理学部教授

プログラム

13:10
開会の辞 小田 忠雄 基礎科学部門専門委員会委員長、東北大学理学部教授
挨拶 稲盛 豊実 稲盛財団常務理事
挨拶 広中 平祐 基礎科学部門審査委員会委員長、京都大学名誉教授
受賞者紹介 佐武 一郎 基礎科学部門審査委員会委員、中央大学理学部教授
13:25
記念講演 アンドレ・ヴェイユ 基礎科学部門受賞者
「楕円曲線」
14:15
講演 塩田 徹治 立教大学理学部教授
「モーデル・ヴェイユ格子」
15:05
休憩
15:20
講演 藤原 一宏 名古屋大学理学部講師
「関数体上のガロア表現と保型表現のラングランズ対応」
16:10
講演 サンダララマン・ラマナン Tata基礎研究所上席教授
17:00
質疑応答
17:20
閉会
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